それぞれの子どもの「やりたい気持ち」を大事にしていると、ケンカになったり、ぶつかったりすることもよくあります。
下の写真は、イスを移動させているときにおきたケンカの一場面です。
イスをわざとぶつけたのではないかと大げんかになりました。
保育者はふたりの言い分を聞きますが、最後まで「ケンカをやめなさい」「謝りなさい」と言うことはありませんでした。
その場では仲直りできませんでしたが、時間をおいて「いまはどんな気持ち?」と子どもの気持ちを確認すると、子どもの方から「謝りたい」と言い出しました。
気心が知れているから、感情をぶつけられる
回答:柴田 愛子さん 子ども同士がケンカをするとき、下記条件に合う場合は、ケンカを見守ります。 ■柴田流ケンカの3か条 ・素手でやること(道具を使わない) ・1対1であること ・両方にやる気があること よくケンカをする子どもたちに「ケンカが好きだね」と話しかけると、「好きでやってるんじゃないよ。ケンカになっちゃうんだ」と話してくれます。「どうして他の子とはケンカしないの?」と聞くと、「あの子とはあまり仲良くないもん」と答えます。 気心が知れているから、感情をぶつけられるのです。つまり、ケンカができる間柄ということです。 子どものケンカは、大人の人間関係の面でも難しいですよね。 子どもがケンカをしているときに、自分は見守ろうと思っていても、相手の子の親がどう思っているかわからず、「いい人を思われたい」ということもあり、ひとまずケンカを止めさせてしまうことがあると思います。そのようなときは、勇気を出して、相手の親に「止めます?もうちょっと様子を見てみます?」と聞いてみてください。 意見が一致するのであれば見守り、一致しないのであれば、ケンカを止めさせればいいと思います。
上手に見守って、子どもの攻撃的なエネルギーを発散させる
回答:汐見 稔幸さん ケンカは子どもの中にある攻撃的なエネルギーを発散させる機会でもあります。 無理にケンカを止めさせてしまうと、一度心の中に沸き起こった攻撃的なエネルギーが閉じ込められ、いじめなどの別の形で発散される可能性もあります。 ケンカは上手に見守ってあげるといいですよ。
子どもはケンカを通して「心を調整する方法」を身につける
回答:遠藤 利彦さん ケンカをして時間がたつと、仲直りするまでに、気まずい期間を経験します。この気まずい期間で子どもはいろんな事を考えます。ケンカは、気まずい期間を含め、仲直りまでが1つのセットです。これらを繰り返すことで、「どこまでならやってもいいか」のような手加減の仕方や、ケンカをせずに問題を解決する方法などを考えるようになります。ケンカを通して、「心を調整する方法」を身につけているのだと思います。 大人は、子どもが“キレて”、ケンカを始める前に、先回りしてケンカを防ごうとしてしまいがちですが、幼児期には怒りを感じ“キレる”経験も大切です。 “キレる”という状態を経験しているからこそ、自分で感情をコントロールして、“キレない”状態にもっていけるのです。 子どものときだからこそ、周りの大人は、子どもの“キレる”経験を大切にしてあげましょう。
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